Microsoft Storeでフリーソフト配布するメリットと分析方法【1か月半で60本登録した開発者の実体験】

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はじめに:なぜフリーソフトをMicrosoft Storeで配布するのか?

 私は「野田工房」として、8か月間で100本のフリーソフトを公開してきました。フリーソフトを作る側にとって「どこで配布するか」はとても大事なポイントです。

 最初は従来どおり Vector や個人サイトで配布していましたが、ユーザーさんから「Microsoft Storeでも公開してほしい」という要望が多く届くようになりました。

 そこで Microsoft Store への登録を始めました。2025年8月中旬から約1か月半で、100本のうち60本を Microsoft Store に登録しました。その過程で見えてきたメリットや課題、成果をこの記事でまとめてみました。
 Microsoft Storeについて知りたい方や、これから公開してみようと考えている方の参考になれば嬉しいです。

ユーザーの声からわかった「Microsoft Store配布の必要性」

セキュリティに対する安心感

 これまで Vector や個人サイトからダウンロードしていたユーザーさんからは、こんな声をよくいただきました。

  • Microsoft Storeから直接インストールできると安心」
  • セキュリティ警告が出ない形で使いたい」
  • ZIPファイルの解凍の手間をなくしてすぐ使いたい」

 つまり、安全性と手軽さの両立が求められていました。
 特に個人開発ソフトの場合、「本当に安全なのかな?」という不安を持つ人は少なくありません。だからこそ公式の Microsoft Store 経由で配布することが大きな安心感につながります。

Windowsとの相性の良さ

さらに、こんな要望もありました。

  • スタートメニューからすぐ検索して起動したい」
  • 「ストアアプリとして Windows 標準の仕組みで管理したい」

 これらの声を聞くと、Microsoft Store で配布することでユーザーにとっての利便性につながることがわかります。開発者にとっても、使ってもらいやすい環境を用意できるのは大きなメリットです。

Microsoft Store登録にかかる作業量と手順

1本あたり平均25分の登録作業

 Microsoft Storeへのアプリ登録は、Vectorなどと比べると手間がぐっと増えます。実際にすべて手作業で行った場合の内訳は以下のとおりです。

必要な作業内容(目安時間):

  • インストーラ(MSI または MSIX)の作成  :約10分
  • アイコン画像・スクリーンショットの用意  :約5分
  • アプリ説明文・機能紹介・審査用データの記入約10分

 合計すると1本あたり25分程度。 Vectorの場合は基本情報を入力するだけ(5分程度)で済むので、Microsoft Store登録はその約5倍の時間がかかります。

最大のハードルはインストーラ作成

 特に時間を取られるのが インストーラ(MSI / MSIX)の作成です。ZIPファイル配布では不要だった作業が増えます。

  • インストーラ情報の登録
    (ソフト名、アイコン、発行元、バージョン、…)
  • 配布対象ファイルとインストール先の指定
    (デスクトップ/スタートメニューへのショートカット作成を含む)
  • デジタル署名の適用

 これらは少し専門的で、慣れるまではつまずきやすい部分です。私も何度も試しては挫折を繰り返しました。ただ、その分メリットも大きく、Microsoft Storeから配布すれば ユーザーはワンクリックで安全にインストールできるため、利便性が大幅に向上します。

 「手間はかかるけど、その先にユーザーの安心と利便性がある」――これがMicrosoft Store配布の一番の魅力です。

Microsoft Storeでフリーソフトを配布する5つのメリット

1. 配布経路が増えて、より多くの人に届く

これまでの配布先は以下のような感じでした。

  • 個人サイト月間約2,300件のダウンロード
  • Vector   … 月間約400件のダウンロード

 ここに Microsoft Storeを追加した結果、月間約700件のダウンロードが増えました。
 配布場所が増えることで、これまで届かなかったユーザー層にもアプローチできます。特にMicrosoft Storeは Windowsの検索機能と直結しているので、新しい利用者を獲得しやすいのが大きな魅力です。6割追加した時点のダウンロード数で、登録後間もないソフトも多いため、今後さらに伸びる予定です。

2. セキュリティ警告を回避でき、安心感アップ

 個人開発のソフトは、起動時に「不明な発行元」と警告されてしまうことがあります。これが原因でソフトの使用をためらう人も少なくありません。でもMicrosoft Storeで配布すれば、事前に審査されているため以下のようなメリットがあります。

  • 警告表示が出ない
  • 企業やビジネスユーザーも安心して導入できる
  • ウイルスソフトによる誤検知リスクが下がる

 結果として、「安心して使える」という理由から利用者が増える傾向があります。

3. 利用状況データが見られる

 Microsoft Storeの管理画面(Partner Center)では、アプリの ページビュー数やインストール数を確認でき、開発の方向性を決める際の参考になります。
(私はあえてMSI形式で配布しているため一部取得できないデータもありますが、MSIX形式であれば自動アップデートさらに細かい利用分析も可能です。)

1か月半で得られた具体的な成果と数値分析

公開から1か月半の成果まとめ

 約1か月半(2025年8月中旬~9月27日)で、Microsoft Storeに登録した成果を数値でまとめました。

【主な結果(KPI)】

  • ページビュー数約10,000回
  • インストール数約700件
  • コンバージョン率(閲覧→インストール)約7%
  • 登録したソフト数60本

【配布チャネルごとの月間インストール数】

  • 個人サイト    … 約2,300件
  • Microsoft Store約700件 ※今回追加(6割登録時点)
  • Vector      … 約400件

 Microsoft Storeを追加したことで、これまでリーチできなかったユーザー層からの利用が確実に増えています。

データを活かしたアプリ開発の進め方

人気アプリを見極める「散布図分析」

 私は 閲覧数 × インストール数を軸にした散布図を使って、アプリの人気度を分析しています。

 グラフの中央値より上にあるアプリを「人気アプリ」と位置づけ、今後はそのジャンルを優先的に強化していく予定です。

 このように数字をもとに可視化すると、次にどのジャンルに注力すべきかが一目で分かります。

Microsoft Store内での競合チェック

 また、同じカテゴリにあるアプリと比較することで、自分のアプリの強みや差別化ポイントも見えてきます。

チェックする項目例:

  • 同ジャンルソフトとの機能比較
  • 無料/有料アプリの価格帯
  • ユーザーレビューの傾向

差別化の工夫例:

  • 他のアプリにはない機能を追加する
  • 直感的で使いやすいUIに改善する
  • 定期的なアップデートで信頼感を高める

 数字をもとに分析し、競合との差別化を図ることで、より多くのユーザーに選ばれるアプリを作れるようになります。

今後の展望と改善計画

残り40本も順次公開予定

 これまでに100本中60本のソフトをMicrosoft Storeに公開しました。残り40本についても、順次登録を進めていく予定です。公開本数が増えるほど、より多くのユーザーに届くチャンスも広がります。

まとめ:Microsoft Store配布は手間以上の価値がある

 今回の約1か月半の取り組みで、Microsoft Store配布から得られた成果は大きなものでした。

  • 新しいユーザー層にリーチできた
  • セキュリティ面での安心感が高まった
  • 利用データをもとに改善サイクルを回せるようになった

もちろん課題もあります。

  • 登録作業の負担   → 一部を自動化して効率化
  • 審査対応      → 審査で修正を求められた際の対応方法のノウハウを蓄積

 確かに手間はかかりますが、「安心して使える」「見つけてもらいやすい」というメリットは労力に十分見合うものでした。特に、セキュリティ意識が高まっている今、公式ストアから配布することは開発者の信頼性向上にも直結します。

 今後もデータに基づいた改善を続けながら、もっと多くのユーザーに価値あるフリーソフトを届けていきたいと考えています。Microsoft Storeでの配布を検討している開発者の方にとって、この記事が参考になれば幸いです。

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